トップ > シルク・ホースクラブ募集馬の考察(2018年) > シルク2018年度 第一次募集の出資申込馬

管理人が出資申込した馬

シルク申込

シルク・ホースクラブの第一次募集が 8月1日17時に終わりました。僕は上記画像のとおり「シャトーブランシュの17」に出資申込をしました。

ひとり出資検討会(シルク2018年度募集)」に詳しく書いていますが、事前の検討ではシャトーブランシュの2017 は候補に入れていませんでしたが、もろもろの事情で本馬への申込みを決定。

私事ですが今年は本業が苦しく、各クラブ 1頭1口ずつくらいしか申し込めないという状況もあり、シャトーブランシュの17 のみ、1口という選択をしました。

すごく考えて悩んだうえで決めたことですが、いまだに正解だったのか自分でもわかりません。

もちろん、シャトーブランシュの17 に大きな期待をして出資していることは間違いないのですが、一口馬主特有の抽選制や実績制というシステム的な問題も考慮した結果なので、100%自信をもっているわけではないです。

とりあえず、備忘録としてシャトーブランシュの17 出資にいたった経緯を残しておきます。

出資を諦めた馬たち

まず、事前にあげた 6頭になぜ出資しなかったかを説明します。

ロザリンドの17」は、人気がありすぎました。YouTube に動画があがっていますが、7月31日におこなわれた出資検討会のなかで発表された応募口数がとても多く、なんと 1,155口(うち抽優馬 475口)。

阿部社長いわく「去年の例で言うとこれの倍近くなる」ということだったので、いさぎよく諦めました。仮に抽優馬(抽選時優先制度)が 900口になった場合、4.5倍という倍率に勝たなければなりません。厳しいです。

昨年に続きオルフェの牡に出資したかったですし、牝系が優秀で配合にも夢がある、そして馬体も良いとすべてがそろっている馬ですが、応援にまわらせてもらいます。

ルージュクールの17」も同じく、倍率が 2.5倍くらいになる見込みだったため見送り。

欲しかったロードカナロア産駒で非常に好みの馬体でしたが、リスクをおかすならロザリンドであり、ルージュクールに抽優馬を使おうとは思いませんでした。そのロザリンドを諦めているので、本馬もやめました。

「レスぺランスの17」もやはり、検討会の時点で抽優馬が 199口という口数が厳しかったですし、全く走っていないスクリーンヒーロー牝駒で 1点勝負というのは難しかったです。

「シャンボールフィズの17」は、もともと他の馬が外れたら狙いたいと考えていたので、一次では申し込みませんでした。

すでに総応募口数が 305口を超えていましたので、まだ日本でそれほど走っていないモンテロッソ産駒で未知数であること、安価であることなどから、馬体が小さいという難点はあるが冒険しても良いという人が多かったのかもしれません。

「エンジェルフォールの17」は、悩みました。アドマイヤサンデーの孫という良血でありながら、母がまだ若く実績がないためか(キンシャサノキセキ産駒としては高いかもしれませんが)高額ではなく、馬自身も魅力的。

しかしこの牝系には、個人的には致命的とも思える脚元の弱さがあり、それだけが引っかかりました。

骨片摘出手術によって育成開始が遅れて、仕上がり早であるキンシャサノキセキ産駒のメリットが生かせないことは、それほど問題とは思いませんでした(8月2日に無事に手術を終了しているとのこと)。

それよりも前肢の管の乾き具合など、一族の脆さを払しょくするほどの好材料が馬体に見られなかったことが、見送りの決め手になりました。

管にそこそこの太さはありますが、その湿り方(スジがクッキリ見えないという意味)とあわせて見たときに、そしてそれによる今後の故障リスクと期待を天秤にかけたときに、気持ちが出資に傾きませんでした。

本馬についてもその成長を見守って、応援していきたいです。

「ローマンエンプレスの17」は、最後までシャトーブランシュの17 と比較して迷った結果、選びませんでした。それについては次項で説明します。

シャトーブランシュの17に出資を決めた理由

シャトーブランシュの17

事前に検討していた出資候補のなかで、最後に残ったのがローマンエンプレスの17(父ロードカナロア)でした。

そのときはすぐに出資申込をするつもりでいましたが、ふと、最終決定前に同じロードカナロア産駒と比較して自分のなかの選択をよりクリアにしておこうと思い立ち、他の馬を再確認しました。

そこで浮かび上がったのがシャトーブランシュの17 でした。

馬体や歩様、血統、配合、母齢などでふるい落としていたはずでしたが、配合をいまいちど確認すると思いのほか良かったのです。

正直、改めて見ても馬体と歩様は良くないと感じました。しかしそれを加味しても「この配合は当たれば大きいのではないか」と判断できたのです。プラス材料とマイナス材料は以下のとおりです。

プラス材料

  • 配合が良い
  • 母が重賞ウイナーである

マイナス材料

  • 馬体にメリハリがなく弱々しい
  • 歩様にやや硬さが見られる
  • 牝系が良いとは言えない
  • 母父キングヘイローの EI値が低い
  • 母方トニービンは走らない
  • 牝馬にしては高額の部類である

プラス材料のほうが圧倒的に少ないように見えるかもしれませんが「配合が良い」ことがすべてに優先すると考えています。

馬体にメリハリがないというのは、肩(上腕三頭筋)や僧帽筋、首差しの薄さが影響しています。かといって後躯も強調できるような強さはなく、全体的に映えません

また歩様はやや硬く見えます。飛節の伸びが少ないですし、後肢を接地したときの大腿筋膜張筋(ひばらのあたりの筋肉)のプルプル震える感じは、何か骨格に問題があるのかという不安まで出てきそうなほどです。

血統に目を向けると、母父としてのキングヘイローの EI値は 0.65 と低く、母系はある程度の活躍馬を出していますが、祖母の代(ブランシェリー産駒)が壊滅的です。

ブラックタイプで 5代母の産駒までしっかりと記載されてしまうということは、基本的には直近に活躍馬がいなかったことをあらわしています。

上記のようにマイナス材料が多いのですが、配合は良いと考えています。

まず、父ロードカナロアの結果が出ている配合の要点は「ヌレイエフ(Nureyev)のクロス」と「ナスキロ血脈」だと思います。

本賞金額 2000万円以上の産駒を順に見ていくと、アーモンドアイ・ステルヴィオ・エイシンデネブなどがヌレイエフのクロスを持っています。

※ ヌレイエフと 3/4 同血のフェアリーキング(Fairy King)も含みます。

また、ナスキロ血脈については、ステルヴィオ・ダノンスマッシュ・アンヴァル・アンフィトリテ・ゴールドギア・トロワゼトワル・エイシンデネブ・レッドレグナント・ダイアトニックが当てはまります。

※ ネアルコ(Nearco)+マームード(Mahmoud)、あるいはロイヤルチャージャー(Royal Charger、ナスルーラと 3/4 同血)をナスルーラ(Nasrullah)とみなします。

シャトーブランシュの17 は、少し薄いインブリードですが、ヌレイエフ 5×5 クロスを有しています。

ロードカナロアの配合におけるヌレイエフのクロスとは何か、と考えると、ナスペリオン(ナスルーラ+ハイペリオン Hyperion)血脈のクロスであるという答えが出ます。

ヌレイエフの 2代父 Nearctic はネアルコ×ハイペリオンで、ナスペリオンの外郭をなしています。

そこに母方のマームードと、マームードに含まれるゲインズバラ(Gainsborough、ハイペリオンの父)でナスペリオンを有したと言えるのが、ヌレイエフの父ノーザンダンサー(Northern Dancer)です。

さらにヌレイエフの母スペシャル(Special)は、言わずと知れたナスペリオンの代表的存在。つまりヌレイエフとは、ナスペリオンの権化のようなものだと考えて良いでしょう(強引)。

そのヌレイエフ(またはフェアリーキング)をクロスすることで、ナスペリオンのスイッチを入れるのが、ロードカナロアの配合においてのひとつの正解なのかもしれません。

ちなみに、サンデーサイレンスの父ヘイロー(Halo)はネアルコ+マームード+ゲインズバラ+シリーン(Selene)で、ナスペリオンと言い切って良いでしょう(超強引)。

そのため、母方にサンデーのいるロードカナロア産駒は、ヘイローを介してナスペリオン血脈を強めているという見方もできると思います。

次にナスキロについてですが、例示したとおり、ヌレイエフのクロスよりもナスキロの方が、活躍したロードカナロア産駒に共通しているポイントです。

これはロードカナロアの血統において、ミエスク(Miesque)、マンファスのミルリーフ(Mill Reef)、セクレタリアト(Secretariat)、サラトガデューの Syrian Sea などが関係していると思います。

これらのナスキロ血脈を活性化させるように、母方にナスキロ血脈を持ってくることが重要なのかもしれません。

シャトーブランシュの17 では、母父父ダンシングブレーヴがネアルコとマームード(あるいはロイヤルチャージャー)を含むナスキロ、同じく母父母グッバイヘイロー、3代母メゾンブランシュもナスキロを持っています。

というわけで、シャトーブランシュの17 の配合は良いのではないかと思います。

ロードカナロア産駒は 2世代目が走り出したばかりであり、上記の見解は少ない例から考察したもので誤りである可能性もありますが、現状わかる範囲で読み解くと上記のようになるのではないかなと考えています。

ところでマイナス材料のトニービンの件ですが、厳密にいうと、母方 3代内にトニービンがいるロードカナロア産駒は、カナロア産駒全体とくらべて走らないようであるという意味です(2018年8月2日現在)。

2015年(現3歳)世代の勝ち上がり率は、全体が 42.11%、母方トニービンが 33.33%、1走あたり賞金額は、全体が 192万円、母方トニービンが 141万円です。

というわけで、「配合が良い」としながら「ロードカナロア×母方トニービンは良くない」と矛盾したことを言っているわけですが、それには理由があります。

トニービンが G1 を勝ったのは古馬になってからで、3歳時は善戦するものの勝ちきれませんでしたし、それは母父トニービンの代表であるハーツクライも同じでした。

ハーツクライは皐月賞 14着の惨敗、日本ダービーは強い 2着でしたが、それは得意の東京コース。3歳時の古馬一線級とのレースでは凡走しかしていません。

しかし、古馬になってからは宝塚記念、ジャパンカップで 2着して、さらに有馬記念やドバイシーマクラシックに勝っています。

ハーツクライ産駒もよく「成長力がある」と評されることからも、トニービン系全体が晩成型であると言えるのではないでしょうか。

同じく母方トニービンも晩成であり、それがカナロア産駒の傾向にもあらわれていると考えます。つまり能力が劣るのではなく、相対的に成長が遅いために、勝ちきれない馬が多いのではないかということです。

もしこの仮説が正しければ、今後、母方にトニービンを置くロードカナロア産駒が古馬になってから巻き返しをしてくれるはずなのですが、ゴールドギアあたり頑張ってくれないかな(笑)。

もうひとつ、よく言われる「初仔の牝馬は走らない」という件ですが、個人的に調べたところそういう事実はありませんでした。

無作為に選んだ母馬 197頭について、その産駒全体の牡馬と牝馬の本賞金額の比、初仔の牡馬と初仔の牝馬の本賞金額の比をくらべてみたところ、むしろ初仔の牝馬のほうが走るという結果が出ました。

具体的には、全体の牡馬と牝馬の比(牡馬÷牝馬)1.34 にたいして、初仔の牡馬と牝馬の比は 1.05 でした。つまり、全体よりも初仔のほうが、牡馬と牝馬の稼いだ金額に差がなかったということです。

たまたま偏った可能性もありますが、そうだとしても一般的に言われているような、明らかに牝馬が劣るという傾向はないと感じています。

思いのほか長くなったので、ローマンエンプレスの2017 を選ばなかった理由についてはサラッとあげるにとどめます。

ローマンエンプレスの2017 はサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)を持っていますが、サドラーはフェアリーキングの全兄であり、ヌレイエフと 3/4 同血です。

よって本馬はヌレイエフ 5×2 クロスを持っています。また Mill Reef というナスキロ血脈も持っており、ロードカナロア産駒の活躍馬の条件にあっています。

また、2代母アイオニアンシー(Ionian Sea)は G1馬を含む重賞ウイナー 2頭を輩出。3代母も重賞勝ち馬であり、母系は良く見えます。

しかし、アイルランド産の姉 2頭について詳細不明ですし、カタログには載っている姉タミトがなぜか JBIS には載っておらず、そこらへんの情報の不一致がとても不気味。

またサドラー(フェアリーキング)についてはステルヴィオという成功例があるものの、ウインネプチューンやサニツが速い上がりを使えていないこと。

日本で走っている姉のロックザボート(父ファストネットロック Fastnet Rock)が、父がカナロアと同じミオスタチン遺伝子型 C:C型であると思われるが、やはり速い上がりを使えていないこと。

全兄のヴィアロマーナについて、外厩スタッフがスピードのある馬ではない(スピードは普通)と発言したらしいこと。

シャトーブランシュとは反対に関節がグニャグニャで柔らかく見えるが、それを活かすために必要な筋肉量がトモを見るかぎりでは付くかわからず、パンとするのかわからないこと。

…などのマイナス材料があり、それらをふまえてシャトーブランシュの17 と比較して総合的に考えた結果、シャトーブランシュのほうを選びました。

最後の最後まで上記の 2頭のどちらにするかは迷いましたが、初仔であるシャトーブランシュの17 のほうが夢が見られそうという謎理論もあり、決定しました(笑)。

まあ謎理論といえば、長々と述べたナスキロやナスペリオンについても、血統上の遠い位置にあるそれらが本当に効果を発揮しているかはわからず、それらも謎理論的ではありますね。

正直シャトーブランシュの2017 も、マイナス材料にあげたなかで、特に馬体については改善されないと走らないと思うので、育成によって良化していくことを願っています。

というわけで、抽選結果をドキドキしながら待ちたいと思います。

※ ナスキロやナスペリオンについては「血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog」を基にしています。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。頭がこんがらがって爆発します(汗)。

この記事の作成日は 2018年08月03日 です。

このページのトップへ

トップページ