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キャロットのロードカナロア産駒(2018年度募集)

迷い

今年のキャロットクラブ募集馬のなかに、ロードカナロア産駒は 11頭います。とても多いですね。以下、母父名で五十音順に並べます。

ペルレンケッテ〜パッシフローラの 4頭が母父ディープインパクトで、今後もこの配合が増えそうという印象を受けます。

先に結論を言うと、個人的には馬体の出来と歩様で判断すると下記のとおりです。かなり伯仲していて順序が付けられていないです(上から好みの順)。

ペルレンケッテ = フロアクラフト = ローズノーブル
> ローガンサファイア = エクレールアンジュ
> グランデアモーレ = パッシフローラ

ちなみに血統を加味すると、エクレールアンジュが頭ひとつ抜けます。もちろん僕の主観であり、個人的な好みを前面に出したうえでの判断です。

今年は財政的な理由から各クラブ 1頭ずつと考えていて、ロードカナロア産駒はすでにシルクのシャトーブランシュに出資したので、キャロットでは見送る予定です。

キャロットでは測尺や馬体写真が出る前から、ディアデラマドレにゾッコンというのもあります。

しかし、ディアデラマドレの出来が悪かったり、他に目ぼしい馬がいなかったりした場合にはロードカナロア産駒も出資候補に入るので、きちんと調べておこうと思います。

2015年世代の傾向を探る

以下に、ロードカナロア産駒の短評をまとめます。2016年世代は新馬戦がはじまったばかりでまだ情報が揃っていないので、2015年(現3歳)世代のデータとともに血統と配合を見ます。

勝ち上がり率は中央の芝・ダートに限ったもの、本賞金額は地方や海外も含めたもので、特に記載のない場合は 2018年08月13日現在の情報です。

リリサイドの17 (牝)

リリサイドの17

リリサイドの2017 は、母父アメリカンポスト(American Post)。アメリカンポストの父 Bering はハービンジャーの母父です。

母リリサイドはフランスの競走馬で、11戦5勝、仏1000ギニーで 1位入線(6着降着)している牝馬。本馬はその 6番仔で、上も含めてすべて牝馬というのがおもしろいですね。

上の 5頭のうち、未出走のアラスカ(父オルフェーヴル)以外を見ると、勝ち上がりが 3/4 と高確率で、その 3頭はみんな 2勝以上しているので打率も打点もそこそこ良いです。

ただ兄姉はすべてサンデーサイレンス系であり、キングカメハメハ系のロードカナロアとの相性は未知数。

データ的にもカナロア×ネイティヴダンサー(Native Dancer)系というのはほぼないので判断が難しいですが、Sadler's Wells や Mill Reef など血統上の字面的にはやや重めかなという印象。

今回のカナロア産駒 11頭のなかで最高額の 6000万円という募集総額ですが、これは半姉のリスグラシューの評価によるものもあるのでしょうが、本馬自体の出来が良いのも当然あるでしょう。

個人的にはカナロア牝馬に 6000万円出したいとは思いませんし、馬体と歩様を見てもその感想は変わりませんでした。

マチカネエンジイロの17 (牝)

マチカネエンジイロの17

マチカネエンジイロの2017 は、母父サンデーサイレンス。ロードカナロア×サンデーと言えば、牝馬クラシック戦線で活躍するアーモンドアイが即座に思い浮かびます。

母マチカネエンジイロは日本で走り、戦績は 15戦3勝。2歳時には重賞で 4着したこともありましたが、古馬になってから 1000万条件では掲示板に載ることはできませんでした。

本馬は 9番仔。上にはクロフネ産駒やワークフォース産駒などが並び、あまり高い種馬は付けられていない印象です。

それでもクロフネ産駒がオープン馬や上級条件馬になり、ローエングリン産駒のゴットフリートは重賞で好走しています。そこそこ悪くない繁殖成績を残していると言えるでしょう。

母父サンデーサイレンスのカナロア産駒の勝ち上がり率は 52.6%(10/19)とカナロア産駒全体(41.4%)より高く、アーモンドアイという大物も生まれているので、期待はできそう。

馬体は肋(ろく)に張りがあって良く、トモ幅も及第点。厚みはこれから出てくると思います。歩様は少し後ろから見たときに飛節がグラついていますが、大きな問題はなさそうです。

胴が詰まり気味で、血統的にも距離はあまりもちそうにないですが、短距離馬がほしい場合には良いかもしれません。

エクレールアンジュの17

エクレールアンジュの17

エクレールアンジュの2017 は、母父ゼンノロブロイ。母エクレールアンジュは不出走で、本馬が初仔です。

母の兄には、日本で重賞を勝ち、オーストラリア移籍後に G1 を勝ったトーセンスターダムがいます。

また 3代母エヴリウィスパーの産駒にはトーセンジョーダンやトーセンホマレボシがおり、代々 G1馬や重賞勝ち馬を出している牝系の初仔ということで、個人的にかなり期待できる馬だと思っています。

現3歳世代のロードカナロア産駒のうち、母父ゼンノロブロイは 3頭だけで参考になりませんが、1000万下で好走するなど今後が期待されるゴールドギアが出ていますし、サンデー系との相性も悪くないので配合的には及第点

母母母父がノーザンテーストというのも、母父ロブロイのカナロア産駒で唯一勝ち上がっているゴールドギアと同じであり、その点もプラス評価できます。

本馬については血統も良いですが、それよりも馬体が素晴らしいです。前後バランス良く発達しており、フレームも申し分なし。肋の張りもありますし、現時点でトモも十分です。咬筋も腹袋もあり、食事も大丈夫そう。

歩様は柔らかく、大腿筋膜張筋のクシャクシャ感がアーモンドアイに通じるものがあります。関東のロードカナロア産駒なら僕はこの仔を選びます。

シシリアンブリーズの17 (牝)

シシリアンブリーズの17

シシリアンブリーズの2017 は、母父がエクレールアンジュと同じくゼンノロブロイ。

母シシリアンブリーズは勝ち数こそ 1勝なものの、スイートピーS(OP) 2着というオープンレースでの好走歴もあります。本馬はその 3番仔。

兄姉が走っていないのは父があまり良くないこともあり、割り引いて見る必要はいまのところないと思います。

配合については母父が同じ上記のエクレールアンジュを参照して頂くとして、本馬については血統がやはり魅力。祖母ブルーアヴェニューの産駒にはあのクロフネがいます。

ただ、血統からはダートでも潰しがきくように見えますが、実際にはそれはわかりません。

歩様を見ると繋ぎの返しが良くて捌きが軽く、芝向きの身のこなしに見えます。大腿筋膜張筋などを見ると筋肉は柔らかそうですが、歩幅を見ると関節は筋肉ほど柔らかい感じはありません。

とはいえ歩様は及第点以上のものがありますし、馬体についてはエクレールアンジュと同じような表現になりますが、咬筋も腹袋もあり、肋に張りがあります。良い馬だと思います。

ローガンサファイアの17 (牡)

ローガンサファイアの17

ローガンサファイアの2017 は、母父ダイワメジャー。本馬は初仔です。

母ローガンサファイアはマーガレットS(OP) 勝ち馬で、短距離で 4勝をあげています。母のきょうだいに目立った活躍馬はいませんが、祖母のきょうだいにサウスヴィグラスがいます。

母父ダイワメジャーのカナロア産駒は現3歳世代には 1頭のみで相性うんぬんについては何も言えませんが、母父サンデーサイレンス系なので基本的には悪くない組み合わせです。

ただ母の勝ち距離を見ても、母父ダイワメジャーというのを含めて考えても、完全に短距離に特化したような配合という印象を受けます。

馬体は管と前腕のバランス、管と脛のバランスなど個人的に好みの肢をしています。なぜか肩と肘のつき方、そしてトモの形状にキンシャサノキセキ感があります(笑)。

歩様は左右の歩幅にかなり違いがあるように感じますが、筋肉が柔らかく前進気勢が高そうなキビキビとした歩きで好感がもてます。少し小さそうなので測尺の発表を待ちたいです。

ペルレンケッテの17 (牡)

ペルレンケッテの17

ペルレンケッテの2017 は、母父ディープインパクト。本馬はおそらく 2番仔です(2016年が空胎なのか出産後に仔が亡くなったのか不明)。

母ペルレンケッテは 16戦4勝という成績で、きょうだいには目立った戦績をあげた馬はいません。ペルレンケッテの17 の唯一の姉ペルネッティア(父ノヴェリスト)も 3歳未勝利で苦戦しています。

というわけで、血統的には良さは感じません。配合的にもアウトブリードで、母父ディープインパクトというのも EI値的に大きな期待はしにくいです。

しかし、本馬は馬体と歩様がとても良いです。

少しトモが勝ちすぎていて胸前が寂しい気もしますが、その他には少し背が弱そうなことだけがマイナス材料で、その点を除くと個人的にほぼパーフェクトの馬体だと思っています。

歩様もダイナミックで柔らかく、非の打ち所がないです。大腿筋膜張筋の伸びや肩の出方を含めて考えると、おそらく筋肉も靭帯もどちらも柔らかいのではないでしょうか。

血統的にエクレールアンジュの評価を高くしていますが、実際には甲乙つけがたい出来です。

クルミナルの17 (牝)

クルミナルの17

クルミナルの2017 は、母父ディープインパクト。本馬は初仔です。

母クルミナルはわずか 4か月間ほどの現役生活で、5戦2勝、桜花賞(G1) 2着、優駿牝馬(G1) 3着という良績を残しています。その最初の産駒ということで期待が集まっているようです。

祖母クルソラはアルゼンチンで G1 を勝った名牝で、クルミナルのきょうだいとしてはオープン勝ち馬のピオネロがいるくらい。屈腱炎を発症しなければ、クルミナルが代表産駒になっていたかもしれません。

というわけで故障リスクは多少あると思いますが、母の良いところを受け継げば活躍してくれそうです。

その点に着目すると、馬体も母に少し似ていますが、それよりも歩様が母似であるように感じます。柔らかさはそこまで感じませんが、手先が軽く繋ぎの返しが良く、そこが母の歩様に似ています。

首の使い方もキレイで、母のようにピッチ走法で駆けていく姿を見てみたいですね。

ローズノーブルの17 (牡)

※ 本馬は、右トモに慢性的なハ行を呈するようになったため募集中止になりました。

ローズノーブルの2017 は、母父ディープインパクト。本馬は 2番仔です。

母ローズノーブルは 4勝の上級条件馬。そのきょうだいにはオープン勝ち馬のアジュールローズがいます。祖母ヴィアンローズはフランスの重賞勝ち馬です。

配合はアウトブリード。クルミナルも母方でリファール(Lyphard)5×5 が成立しているだけでしたが、母父ディープインパクトだとこのような配合が多いですね。

血統にはそこまで魅力を感じませんが、本馬はペルレンケッテに負けず劣らず、馬体と歩様が素晴らしいです。

測尺が出ていないのでわからないですが、少しコンパクトに見えるものの、全体のバランスが良いです。その点ではペルレンケッテを上回っています。

前肢も後肢も管と前腕、管と脛のバランスが良いですし、胸前と胴、トモのバランスも素晴らしい。それでいて、各部に張りがあって尻もブリンとしていて弾けそうです。なにより飛節の形が良い

欠点はほぼ見当たりませんが、強いて言えば首がやや細い点でしょうか。ただそれも、写真で見るとそうですが、動画で見るとほぼ気になりません。

歩様は少し慣性に頼っているようにも映りますが、歩幅は十分あり、首の使い方もうまく見えます。関西のカナロア産駒は、出来だけで言えばローズノーブルがいちばん好みです。

パッシフローラの17 (牝)

パッシフローラの17

パッシフローラの2017 は、母父ディープインパクト。本馬は 2番仔です。

母パッシフローラは 2勝の中級条件馬。きょうだいには重賞勝ち馬のマジックタイムがいます。それ以外にほぼ活躍馬はおらず、戦歴が短い馬もチラホラいます。

故障引退や、馬体が出来ずレースにつかえなかった馬もいるようですが、母パッシフローラは未勝利を勝ち上がるまでに 12戦も使い詰めされているので、彼女とその仔は健康かもしれません。

馬体のバランスや張りという点ではローズノーブルなどに劣りますが、個人的に重視している飛節については関西カナロア産駒のなかで 2位にランクインしています(謎情報)。

歩様はキビキビしていて歩幅もあります。ただトモでしっかり推進力を生み出しているというよりは、捌きが軽くスイスイ前へ進むような感じです。

この馬については馬体や歩様よりも、額の星がとてもカッコイイということが大きいです。出資候補にはしませんが、あの星が輝くような活躍を願っています。

グランデアモーレの17 (牡)

グランデアモーレの17

グランデアモーレの2017 は、母父ネオユニヴァース。本馬は初仔です。

母グランデアモーレは 4勝の上級条件馬、祖母ヒカルアモーレは 2勝。母のきょうだいには上級条件馬のシュペルミエール(父ステイゴールド)がいます。

彼は 2017年3月に 1600万下を勝ってから屈腱炎を発症して、長期休養に入っています。それまでの戦績を見ると、順調に行っていればオープン勝ちはできそうなレベルだったと思います。

ロードカナロア×ネオユニヴァースは現3歳世代は中央登録馬が 2頭のみで参考にならず。カナロアの父キングカメハメハで見ると、コズミックフォースが出ている組み合わせです。

キンカメ×ネオユニヴァース自体も一桁台なので、そのなかから重賞級と言ってもよいコズミックフォースが出ているのは凄いという感じ。

本馬の配合はアウトブリードで、ミスタープロスペクター(Mr. Prospector)3×5 クロスのあるコズミックフォースとは違いますが、馬体の完成度を見ると期待感が膨らみます。

歩様も良いです。若干、奥から手前に斜めに移動している気がしますが、そのため実際よりも歩幅が少し狭く見えていると思います。広いとは言えないものの、しっかり踏み込んでいます。

右前肢がすこしオフセットぎみに見えますが、特に問題はないでしょう。関西カナロアのなかでは、馬体はローズノーブルの次に良いと見ています。

フロアクラフトの17 (牝)

フロアクラフトの17

フロアクラフトの2017 は、母父フジキセキ。本馬は初仔です。

母フロアクラフトは 4勝の上級条件馬で、1600万下でも好走。きょうだいにはムーンクエイクやバウンスシャッセなどの重賞ウイナーがいて、まずまず良い母系と言えると思います。

配合はノーザンダンサー(Northern Dancer)5×5、インリアリティ(In Reality)5×5 と、強いクロスのないアウトブリード型。ヌレイエフ(Nureyev)とフェアリーキング(Fairy King)の 3/4 同血クロス 5×4 もあります。

サンプルが少ないので参考までですが、カナロア×フジキセキは勝ち上がり率こそカナロア産駒全体より良いものの、1頭あたり本賞金額は全体を下回ります。

キンカメ×フジキセキも同じ傾向で、安定感はあるが大物は出ないという印象。

とはいえ、同じ組み合わせでデビューから 3連勝をかざった後、外傷で長期休養しているアンフィトリテが出ているので、いつか良い馬が出るのではないかと思います。本馬がそれになれば嬉しいです。

写真だと少し肢長に見えますが、動画だとバランスが良いです。柔軟性がありつつも、特に後肢の踏み込みがしっかりとして力強く、馬体も歩様も申し分ない出来。

関東カナロア産駒は、ペルレンケッテ・ローガンサファイア・エクレールアンジュ、そして本馬と、目移りするほど良い馬が多いです。

血統も含めた総合評価

馬体と歩様はとても高いレベルの馬がそろっており、甲乙つけがたいと言った感じです。もちろん馬体が良いけど歩様がそこまででもない、というように、ひとくくりにできず比較しにくい点もあります。

それでも個人的に順位付けをした場合は、冒頭のようになります。

そこにさらに血統や配合の評価も加えた総合的な評価で選ぶなら、自分はエクレールアンジュフロアクラフトを推します。

エクレールアンジュは牝系が良く、祖母も曾祖母も G1馬を産んでいます。ただそのどちらもが牡というのが少し気がかりで、牝馬では大きな活躍馬が出ていません。

しかしロードカナロア産駒はいまのところ牝馬も活躍しているので、そちらの良さが上回ればどうなるかわかりません。

懸念点としては、スピードと喉があります。母エクレールアンジュの詳細は入会していないクラブだったのでわかりませんが、あまり調教でスピードを感じなかったようであることがひとつ。

また重度の喉鳴りでデビューできず終わったことを考えると、首の太さなどには注意を払って見ていきたいです。

フロアクラフトは多くの面が高水準でまとまっています。トモがすこし薄いですが、幅は十分ありますし飛節もしっかりしているので、今後厚みが出てくると予想しています。

祖母の仔にかなりセン馬が多いので、気性だけは注視したいですね。

ちなみに、馬体と歩様だけで選ぶならペルレンケッテにします。本当に、凄く良いです!

いちど自分を解き放って、血統などを気にせずに出資する枠もつくりたいですが、そうするにはちょっと金銭的な余裕が足りないです。もっと働いておけよと、過去の自分を叱りたいです(笑)。

[ 追記 ]

測尺がつい先ほど発表されまして、エクレールアンジュは出資候補から外れました。3月中旬生まれで管囲 19.0cm はさすがに厳しいです。

フロアクラフトは測尺もバッチリです。少し体高が低いですが、馬自体が良いので目をつぶります。ペルレンケッテは本当に、馬体に関しては非の打ち所がないですね。

この記事の作成日は 2018年08月21日、最終更新日は 2018年09月01日 です。

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