トップ > キャロットクラブ募集馬の考察(2018年) > エピファネイア産駒の短評まとめ

キャロットのエピファネイア産駒(2018年度募集)

選択

今年のキャロットクラブ募集馬のなかに、エピファネイア産駒は 6頭います。

アヴェンチュラの17、シーディドアラバイの17、ディアデラマドレの17、シーズンズベストの17、アンレールの17、フェルミオンの17で、全てサンデーサイレンス 4×3 クロスがあります。

現段階では字面だけなので何とも言えませんが、圧倒的に欲しいと思っているのがディアデラマドレ、次がアヴェンチュラ、その後アンレール、シーズンズベストという順番。

ディアデラマドレは母馬優先でキャロで募集がかかるだろうということで、募集リストに名前が載る前から欲しいと思っていた 1頭でしたし、東サラでレッドソンブレロの抽選に落ちたのでキャロットではぜひ勝ち取りたいです。

初年度産駒なので父の傾向から探る

ディアデラマドレとアヴェンチュラについては改めて記事を書くと思いますが、ここで 6頭すべてについて短評をまとめておきます。

※ 書きました。「アヴェンチュラの2017の配合分析と血統評価」「ディアデラマドレの2017の配合分析と血統評価」。

アヴェンチュラの17

アヴェンチュラの17

この血統については詳しく語るまでもなく、母系は超優秀です。

2代母アドマイヤサンデーは自身が G2 で 2着、産駒はトールポピー(優駿牝馬・阪神ジュベナイルF)、アヴェンチュラ(秋華賞)、フサイチホウオー(共同通信杯)という 3頭の重賞ウイナーを出し、そのうち 2頭が G1馬

アヴェンチュラの全姉トールポピーは残念ながら 2頭のキングカメハメハ産駒を出産後亡くなってしまい、同じ G1馬である全妹アヴェンチュラには繁殖牝馬として期待がかけられています。

配合に関しては、エピファネイア産駒では当然狙われるであろうサンデーサイレンスのクロスがしっかり掛かっています。

エピファネイアはまだ初年度産駒ということで父シンボリクリスエスの配合を振り返ると、ボリクリ×トニービンの中央登録馬は 40%(12/30)が勝ち上がっておりまずまず優秀です。

しかし重賞勝ち馬は出ておらず、リクエストソングの小倉記念 3着がやっとという感じ。トニービン産駒のジャングルポケットが母父に入るこの配合も、安定性はあるかもしれませんが爆発力に欠ける可能性があります。

ただ、ボリクリ産駒はサンデー系×トニービン、もしくはサンデー系×トニービン×ノーザンテーストという配合では結果を出しているのを見ると、ナスペリオンで切れを増す方向が合っているようにも見えます。

その点はサンデーのクロスで十分補えている可能性もあり、この母系の良さがきちんと出れば産駒は問題なく走りそうな気がします。

ボリクリにヌレイエフ(Nureyev)が入るとダート寄りに出ることが多いですが、母系と配合を見たらその点について心配する必要はなく、芝向きだと考えられます。

問題があるとすれば、故障リスク。この母系は能力は非常に高いですが、故障や早世に悩まされている一族でもあります。

父系も、ボリクリは頑丈ですが、エピファネイアを含むきょうだい、そしてその母シーザリオもまた故障に悩まされ続けている血統。そのリスクをどう取るかで、アヴェンチュラの2017 の評価が変わりそうです。

シーディドアラバイの17

シーディドアラバイの17

シーディドアラバイの2017 は、アヴェンチュラと同じく母父がジャングルポケット。血統はアヴェンチュラにかなり劣ると思いますが、配合的にはこちらのほうが良いと見ています。

2代母ロココスタイルは父サンデー、母父ノーザンテーストという北米的な血統で、産駒はシーディドアラバイを含めてほとんど走りませんでした。

中央馬としてはシーディドアラバイの全弟ジャンバティストが上級条件馬というのが最高で、その他の産駒は特に語れる実績をあげていません。

シーディドアラバイは繁殖牝馬として少し改善されていて、本馬の上にはオープン馬のロッカフラベイビーや、500万下を 2勝したタイセイララバイなどがいます。

そこへきてエピファネイア産駒の本馬ですが、ボリクリ産駒で 3/4 同血である半姉タイセイララバイが下級条件では強さを見せましたので、期待できる部分はあります。

また先述したように、ボリクリ産駒ではサンデー×トニービン×テーストで結果が出ており、エピファネイアが父と同じパターンをなぞるかはわからないものの、相性は悪くなさそうと思えます。

ディアデラマドレの17

ディアデラマドレの17

前述 2頭は母父ジャングルポケットでしたが、ディアデラマドレの2017 は母父がキングカメハメハという配合。こちらもアヴェンチュラと同じく、僕が多くを語る必要のない馬です。

3代母ポトリザリスはアルゼンチンの G1馬で、そこにサンデーサイレンスを付けて生まれた 2代母ディアデラノビアは重賞を 3勝。

このディアデラノビアは繁殖牝馬としても非常に優秀で、現2歳・3歳の産駒以外はすべてが勝ち上がっています。それどころか、重賞ウイナー 2頭、OP勝ち馬が 3頭、残る 1頭も上級条件馬という打率と打点の高さ

その重賞勝ち馬のうちの 1頭が本馬の母ディアデラマドレであり、読売マイラーズC(G2) で 31.9秒という上がりを見せた快速馬です。その初仔ですから、何をかいわんや。

ひとつ問題があるとすれば、シンボリクリスエスとキングカメハメハの相性の悪さです。

ボリクリはミスプロ系と非常に相性が良く、Smart Strike ではストロングリターン(安田記念)を、Crafty Prospector ではサンカルロ(阪神カップ)を、エンドスウィープではサトノネプチューン(ホープフルS)を輩出しています。

しかしなぜか、ミスタープロスペクター系のなかでもキングマンボ(Kingmambo)系だけは別のようで、母父キングマンボは勝ち上がり率こそ 40%(6/15)とそこそこなものの、その内容は 500万下で勝つのがやっと

母方3代内にキングマンボが入った産駒の勝ち上がり率は、母父の場合を含めて 29.2%(14/48)、母父キンカメも 23.1%(3/13)というありさまです。

ただご存知のように、朝日杯フューチュリティS を勝ったエピファネイアの半弟リオンディーズは、キンカメ産駒。つまりシーザリオとキンカメの相性は良いはずです。

というわけで、シンボリクリスエスとキングマンボ系の相性の悪さが勝つか、それともシーザリオとキングカメハメハの相性の良さが勝つか、それも見物の配合です(笑)。

ここまでデータを引っ張り出しておきながらなんですが、個人的には上記の件はどうでもよく、馬体と歩様が一定レベル以上であれば目をつぶって出資したいと思っています。

母馬出資者優先制度が使えるこの仔を、バツひとつの抽選で勝ち取れるかというと正直難しい気もしますが、本当になんとか…どうにかしてください神様お願いします!

シーズンズベストの17

シーズンズベストの17

シーズンズベストの2017 は、母父ゼンノロブロイ。前年のルーラーシップ産駒が産まれたのか不受胎だったのかわかりませんが、不受胎であるなら空胎明けの 3番仔ということになります。

2代母シーズアンにはそこそこの出来の産駒がいる印象ですが、一見するとディープインパクトを付けても準オープンどまりというように見えます。

しかし、実際にはディープ産駒のうち 1頭は、2014年の信濃川特別(1000万下)で、ゴール前で落馬事故を起こしたアドマイヤディープ

彼は 3歳4月末の未勝利戦でデビューということで、クラシック戦線には乗れませんでしたが、500万下・1000万下を連勝したあとの休み明けで上記の落馬があり、無事であればもっと上を目指せた存在です。

※ 非常に痛々しい落馬なので、当該レースは見ないことをオススメします。

というわけで、祖母の繁殖牝馬としての能力は悪くなかったと見ています。

母シーズンズベストは 500万下で好走を繰り返して、降級後に 2度目の 500万下での勝利をしたあとに引退。産駒 2頭はどちらも未勝利を勝ち上がれず、地方で現役で走っています。

母はまだ繁殖牝馬として結果は出せていないわけですが、本馬は兄姉の配合から一変する内容の配合なので、別の結果が出る可能性があると見ています。

祖母シーズアンは Nearco 5×5、シーズンズベストはアウトブリード、祖父シンボリクリスエスは Royal Charger 5×5、エピファネイアは Hail to Reason 4×5 と、代々 4×4 以上の強めのクロスを有していません。

そこにサンデーサイレンス 4×3というパンチの効いた配合で、目が覚めないかなあとボンヤリ思っています。

また上記のように、ボリクリからエピファにかけては、ロイヤルチャージャーから分岐した系統をクロスさせています。本馬はサンデーの他に、別のロイヤルチャージャー系である Habitat のクロスも持っています。

基を同じくしながら別系統として繁栄してきた、いわば淘汰を勝ち残ってきた血脈が絡みあうというのは、配合におけるひとつのポイントだと思います。

ほかのエピファネイア産駒も Hail to Reason クロスは共通して有していますが、上記の点において、本馬は一味違うかもしれません。ディアデラマドレほどではないですが期待しています。

アンレールの17

アンレールの17

アンレールの2017 は、母父ディープインパクト。母の初仔です。

出走頭数がまだ少なかったり、配合相手が上手く見つからなかったりということもあるかもしれませんが、その EI値の低さからは、母父ディープと聞いてあまり良い印象は持てません

2代母フレンチバレリーナは非常に安定感があり、未出走の 2歳を除いて、産駒 6頭すべてが勝ち上がっています。とはいえディープ産駒も準オープンどまりで、爆発力はなさそう。

母アンレールはその準オープン馬。本馬が初仔なので産駒実績はないですが、もしフレンチバレリーナと同じように安定感のある繁殖牝馬であれば、期待できるのではないでしょうか。

シンボリクリスエスは、父サンデー系、母父ノーザンダンサー系の牝馬との相性が良かったので、この配合は好感が持てます。

また、先述のフレンチバレリーナの産駒全頭勝ち上がりについても、すべてサンデー系種牡馬との配合によるものなので、サンデーを強くクロスさせている点も良い材料。

父系から見ても母系から見ても、相性の良い組合せということです。

さらにボリクリはサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)とも相性が良く、母方3代内にサドラーがいるボリクリ産駒の勝ち上がり率は 43.6%(24/55)と、ボリクリ産駒全体の 35.6%を大きく上回ります。

流麗なフォームで駆けていたものの、後躯にやや力がなく感じられたエピファネイアでしたが、相性が良いサドラーのクロスが、欧州的な重厚なパワーを補ってくれるかもしれません。

サンデーのクロスで柔らかさと切れを増し、サドラーのクロスでパワーを補い、緩さを締める。そして全体的な相性の良さで父系と母系の良さを引き出す。非常にまとまりの良い配合ではないでしょうか。

ディアデラマドレの抽選が厳しそうだったり、アヴェンチュラがやはり脆弱に見えたりしたときは、アンレールが待ってくれているはずです!

フェルミオンの17

フェルミオンの17

フェルミオンの2017 は、母父アグネスタキオン。6連産目の 6番仔です。

2代母パテントリークリアは、父が種牡馬としても BMS としても世界的に活躍したミスワキ(Miswaki)。

そのためかはわかりませんがパテントリークリアは優秀な繁殖牝馬で、タイキフォーチュン(NHKマイルC)、タイキリオン(ニュージーランドT)、タイキダイヤ(夕刊フジクリスタルC)などの重賞馬を出しました。

母フェルミオンも優秀さをある程度引き継いでいるのか、現2歳以外の産駒 4頭は全て勝ち上がっており、うち 1頭、ストレンジクォーク(父メイショウサムソン)はオープン馬です。

祖母が重賞馬かそれ以外か、という感じだったのに対して、母は今のところ良くてオープン馬というのが気になりますが、全て違う種牡馬、それも現在の日本の主流とは言えない種馬たちで安定した結果を出しているのは評価できます。

本馬についてはそれよりも、シンボリクリスエスとアグネスタキオンの相性の悪さが問題。

ボリクリ×タキオンは勝ち上がり率 18.2%(8/44)、1頭あたり本賞金 782万円と、ボリクリ産駒のなかでも非常に…非常に低い数字を出しています。もちろん重賞勝ち馬はいません。

母父別に見たときに、出走機会が 100以上のボリクリ産駒で最も成功しているサンデー系(サンデーサイレンス自身を除く)はスペシャルウィーク。勝ち上がり率 36.1%、1頭あたり本賞金 3213万円。

というと「エピファネイアが平均を引き上げているのではないか?」と思うかもしれませんが、産駒 36 頭で、それぞれ別の母から 3頭の重賞ウイナーを輩出しているのですから打率自体が違います。

そもそもアグネスタキオンが母父として優秀ではないというのもありますが、それにしても良くない数字。

シーザリオ、エピファネイアと脚元の弱い血統に、ポキオンとまで揶揄されるアグネスタキオンという組み合わせなので、故障リスクも気になります。

同じ故障が気になるエピファネイア産駒ならアヴェンチュラがいますので、配合が強調できないフェルミオンにあえて挑戦する気持ちはわきません。

個人的に、今回のエピファネイア産駒のなかでは評価の低い募集馬です。

エピファネイア牝馬は走らないかもしれない

ここまできてなんですが、エピファネイアの父シンボリクリスエスの仔は、牝馬は全く走っていません

聞いて驚くなかれ。牝馬のボリクリ産駒に、平地での重賞勝ち馬はいません。ゼロです。唯一連対しているのが、ブランネージュ(フローラS)1頭という状態。

スクリーンヒーロー並みに牝馬が走らない父、それがシンボリクリスエスです。

今回のキャロット募集馬 6頭のうち、ディアデラマドレ・シーズンズベスト・アンレール・フェルミオンの 4頭が牝馬ですので、その点は頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。

しかし、僕はそんなことは気にしません。前述のとおり、他に悪材料が重ならない限りはディアデラマドレを狙うつもりです。

エピファネイア産駒がボリクリ産駒と同じ傾向になるとは限りませんし、初年度産駒のうちからそんなことを気にして敬遠していては、大きな成功はつかめないのではないかと考えています。

…と言って、自分を奮い立たせています(笑)。

本心は「お願いだからエピファネイア産駒は牝馬でも走って〜!」という情けない感じです。祈りながら、ディアデラマドレの出来を待ちたいと思います。

この記事の作成日は 2018年08月10日、最終更新日は 2018年09月01日 です。

このページのトップへ

トップページ