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アヴェンチュラの2017の血統評価
- 父
- エピファネイア
- 母
- アヴェンチュラ(9歳時)
- 母父
- ジャングルポケット
- 5代内クロス
- サンデーサイレンス 4×3、Northern Dancer 5×5×5、Hail to Reason 5×5
- 性別
- 牡馬
- 生月日
- 1月19日
- 募集総額
- 6000万円
- 入厩予定
- 藤原英昭(栗東)
- 測尺
- 体重 : 491kg
体高 : 153cm
胸囲 : 184.5cm
管囲 : 21.5cm
※ 測尺は 2018年8月23日 発表の情報です。
※ 写真などの掲載について、クラブに許可を得ています。
アヴェンチュラの17(カイザーライン)の配合分析
アヴェンチュラの2017は、父がエピファネイア、母が秋華賞(G1) に勝ち、エリザベス女王杯(G1) 2着だったアヴェンチュラ、母父がジャングルポケットという血統です。
母アヴェンチュラの産駒成績
- デサフィアンテ(牝 15 キングカメハメハ)3戦0勝 現役
- アヴェンチュラの2016(牡 16 ハービンジャー)不出走引退
アヴェンチュラの17(カイザーライン)は良血馬です。
2代母アドマイヤサンデーはデビュー2連勝のあとオークスに出走、そこは着外に終わりましたが、その年の暮れにはサンケイスポーツ杯阪神牝馬特別(G2) で 2着に食い込みオープン馬へ。
その後は休養をはさみ安田記念出走へ向けて調整されていましたが、調教中の左前肢の骨折によって引退、繁殖入りします。
繁殖牝馬となってからが本番で、生まれ順にフサイチホウオー(共同通信杯(G3)など重賞 3勝)、トールポピー(優駿牝馬(G1)・阪神ジュベナイルF(G1))、アヴェンチュラ(秋華賞(G1)・クイーンS(G3))を輩出。
重賞ウイナー3頭、うち 2頭が G1馬という名繁殖ぶりを発揮します。
母アヴェンチュラは秋華賞を勝った以外にも、エリザベス女王杯(G1) や札幌2歳S(G3) で 2着しており、その実力は折り紙付き。
その母に 17年産がファーストクロップとなるエピファネイアという組み合わせ、サンデーサイレンスの奇跡の血量ということなので、本馬はかなり人気すると思います。
この血統でひとつ文句を付けるとすれば、脚元の弱さ。
祖母アドマイヤサンデーの初仔アドマイヤロイヤルは 2戦で故障、予後不良。2番仔アドマイヤメガミは現役を全うして繁殖牝馬となったものの、13歳で死亡。現役時には骨折をしています。
3番仔ヴァリアントホークは育成時 600kg ほどの超大型馬で、頓挫などもあり仕上がりが遅く、3歳7月にデビューするも勝ち上がれず。地方転籍後に条件を満たして中央へ戻るも、再度中央で走ることなく屈腱炎引退。
4番仔フサイチホウオーは、2歳戦で活躍してクラシック戦線をにぎわすも本番ではふるわず、4歳春に屈腱炎引退。5番仔トールポピーは健康だったが、繁殖入り後に腸捻転のため 7歳で早世。
6番仔ナサニエルは、喉の手術などで数度の長期休養をはさみつつ現役を続けるも、10戦で引退。
7番仔ヴェラブランカは、新馬戦のあと約1年の休養をはさんで勝利、その後も好走を続けるが 7戦で屈腱炎引退。8番仔で本馬の母であるアヴェンチュラは、前述のような活躍を見せるも 3度にわたる骨折で 7戦で引退。
9番仔エンジェルフォールは、育成中の 2度の骨片摘出手術を経て 3歳9月にデビュー。敗戦後、地方で再起を図ろうとしてしていたようだがまた骨折していることがわかり、1戦で引退。
10番仔エルミラドールは、育成期間中に馬房内で暴れて腰を打ち、検査では所見はなかったものの、馬の状態などからおそらく骨盤や股関節のあたりに損傷があるのだろうということで、デビュー前に引退。
11番仔ムタードについてはほぼ情報がないが、デビュー前に登録抹消。12番仔アドヴェントス、13番仔プレビアスは元気に現役続行中。
母アヴェンチュラの産駒、つまり本馬の上についても同様で、16年産の 2番仔は育成中に故障を発生。レントゲン検査やエコー検査では所見は認められないものの、どうやら股関節あたりに骨折があるだろうとのことで引退。
…というわけで、祖母アドマイヤサンデーや母アヴェンチュラも含めて、多くの近親が屈腱炎や骨折などに泣かされている血統なのです。
本馬の父エピファネイア自身も、その母シーザリオも繋靭帯炎で引退しており、この母系と父系の故障リスクを取ってでも出資したいのかどうか、ということを考える必要はあるでしょう。
ちなみに、本馬のいとこにあたるエンジェルフォールの17 がシルクで募集中ですが、期間中に両前膝の骨片摘出手術をおこなっています。
シンボリクリスエスとトニービンの相性
エピファネイア産駒は今年の世代がファーストクロップなので、東サラのときと同じように父シンボリクリスエスの傾向から探ろうと思います。あくまで類推なので、大外れの可能性もあります。
シンボリクリスエス×ジャングルポケットは数が少なすぎてデータとして見れないので、ジャングルポケットの父トニービンで見ます。…もう組合せ自体が変わってますが傾向的なものは見えてくると信じて。
ボリクリ×トニービンは勝ち上がり率が 40%(12/30)と、ボリクリ産駒全体の 35.6% を上回っています。サンデーサイレンスの 41.3%(123/298)には負けますが、ボリクリ産駒としてはかなり良い数字。
しかし安定感はあるものの爆発力はなく、重賞ウイナーは出ていません。重賞で好走したのもリクエストソング(小倉記念3着)くらいです。
ただボリクリ×サンデー系×トニービンではある程度結果が出ており、ユールシンギング(セントライト記念)を輩出しています。
※ とはいえ、ユールシンギングは母父スペシャルウィークなので、彼に関してはボリクリとスペシャルの相性の良さ(重賞勝ち馬3頭輩出)が関係しているかもしれません。
前述のとおりボリクリとサンデー系の相性は良いので、そのサンデーのクロスが強くかかっているこの配合は、想像通りの成果を生む可能性はあります。
競走馬の資質は父よりも母の影響が強いので、優秀な血統である母系の良さが出れば期待できるのは間違いないでしょう。
雄大な馬体だけに左前肢が気になる
アヴェンチュラの17 の馬体については、特に多くを語る必要はないでしょう。誰が見てもわかる雄大な馬体に、その見た目どおりの測尺ということで馬格は文句なしです。
個人的には胸囲を特に重要な指標として見ていますが、本馬は 184.5センチと深い胸を持っており、母を見ても本馬自身の馬体を見ても、優れた資質を有していることが伺えます。
ただ、左前肢が凹膝(弓脚)です。
管囲がありしっかりしているものの、これだけの馬格がありながら弓脚であると、接地時に肢にかかる負担はかなり大きくなるものと思われます。
弓脚において故障発生率が高くなるという統計的に有意なデータはないようですが、やはり健常群とくらべて屈腱炎の発症率はいくぶん高いようなので、個人的には手を出しにくいです。
※ 前肢における著しいコンフォメーション異常が市場および競走成績等に及ぼす影響
母の募集時の写真を見ても弓脚ですし、今年同時に募集されている半姉ヴェラブランカの仔も弓脚です。それが一族の脆さとリンクしている気がして、積極的に出資したいとは思えません。
この記事の作成日は 2018年08月11日、最終更新日は 2018年09月01日 です。