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ディアデラマドレの2017の血統評価

ディアデラマドレの17

エピファネイア
ディアデラマドレ(7歳時)
母父
キングカメハメハ
5代内クロス
サンデーサイレンス 4×3、Hail to Reason 5×5
性別
牝馬
生月日
2月15日
募集総額
3600万円
入厩予定
安田翔伍(栗東)
測尺
体重 : 420kg
体高 : 151.5cm
胸囲 : 172.5cm
管囲 : 19.4cm

※ 測尺は 2018年8月23日 発表の情報です。
※ 写真などの掲載について、クラブに許可を得ています。

ディアデラマドレの17(クラヴェル)の配合分析

ディアデラマドレの2017は、父がエピファネイア、母が上がり 31.9秒という恐ろしい末脚を繰り出し、重賞を 3勝したディアデラマドレ、母父がキングカメハメハという血統です。

2代母ディアデラノビアの繁殖成績

  • ディアデラバンデラ(09 セ シンボリクリスエス)50戦5勝
  • ディアデラマドレ(10 牝 キングカメハメハ)16戦6勝
    府中牝馬S(G2)、愛知杯(G3)、マーメイドS(G3)、エリザベス女王杯(G1) 3着
  • ディアデルレイ(11 牡 キングカメハメハ)29戦7勝 現役
    師走S(OP)、福島民友C(OP)、マーチS(G3) 2着
  • サンマルティン(12 セ ハービンジャー)15戦6勝 現役
    都大路S(OP)、小倉記念(G3) 2着
  • ドレッドノータス(13 セ ハービンジャー)16戦3勝 現役
    ラジオN杯京都2歳S(G3)、アンドロメダS(OP) 2着
  • バルデス(14 牡 ハービンジャー)7戦3勝
    松前特別(1000万下)
  • エルディアマンテ(15 牝 キングカメハメハ)4戦0勝 現役
  • カウディーリョ(16 牡 キングカメハメハ)未出走

ディアデラマドレの17(クラヴェル)は初仔なので、かわりに2代母ディアデラノビアの繁殖成績を載せています。

本馬の3代母ポトリザリスはアルゼンチン生産・調教の競走馬で、現役時代にはナシオナル大賞(別名アルゼンチンダービー)とセレクシオン大賞(アルゼンチンオークス)の 2つの G1 を勝っています。

そんな日本離れした血統にサンデーサイレンスを加えて生まれたのが祖母ディアデラノビア。

自身はサンケイスポーツ賞フローラS(G2) など重賞を 3つ勝ち、優駿牝馬やエリザベス女王杯、ヴィクトリアマイルなどの G1 でも 3着と好走。産駒も上記のような競走成績を残しています。

特筆すべきは打率の高さで、現3歳のエルディアマンテを除くすべての産駒(現2歳のカウディーリョは未出走)が勝ち上がっていること。

しかも内容も濃く、重賞ウイナー 2頭、オープン勝ち馬 3頭(地方 1頭)、上級条件馬 1頭というラインナップです。打率だけでなく打点もそこそこ高いです。

本馬の母ディアデラマドレはそのうちの重賞勝ち馬の 1頭で、府中牝馬S(G2) など重賞を 3勝して、母と同じくエリザベス女王杯(G1) では 3着と好走しています。

ディアデラマドレの最大の魅力はその末脚です。33秒台前半の上がりを何度も使っており、極めつけは読売マイラーズC(G2) で見せた 31.9秒の鬼脚。これが産駒に伝われば…と期待せずにはいられません。

ただ少し気になるのが、故障リスクです。母ディアデラマドレは 2度の骨折を乗り越えて戦績を残したものの、最終的にはやはり脚元の不安から繁殖入り。

ディアデラノビアの 6番仔バルデスが浅屈腱炎で引退。7番仔のエルディアマンテは元気に走っているものの育成期間中に喉の手術を受けているなど、すこぶる体質が良い、とは言えない血統です。

また他のきょうだいは程よい馬体重でしたが、ディアデラマドレは出走時の馬体重が 430〜450kg ほどと、牝馬としても平均よりやや低い馬体重だったことも気にかかります。

本馬はその初仔なので、馬格がどう出ているか、脚元の健康面はどうかなどのチェックは必要でしょう。

もうひとつ付け加えると、祖母ディアデラノビアの仔は 3頭がセン馬になっています。牡馬 6頭のうちの半分がそうなっていることから、気性の点でも問題があるかもしれないと覚悟しておくのがベターです。

シンボリクリスエスとキングカメハメハの相性の悪さ

エピファネイア産駒は今年の募集馬がファーストクロップのため、アヴェンチュラのときと同じように父シンボリクリスエスと牝馬の相性がどうか、という点を見ていきましょう。

シンボリクリスエスは、基本的にミスタープロスペクター(Mr. Prospector)系と相性が良いです。

母父 Smart Strike との間にストロングリターン(安田記念)を、Crafty Prospector との間にサンカルロ(阪神カップ)を、エンドスウィープとの間にサトノネプチューン(ホープフルS)を出しています。

しかし、ミスプロ系のなかで相性が悪い系統もあります。それが本馬の母父の系統、キングマンボ(Kingmambo)系です。

母父キングマンボは、勝ち上がり率は 40%(6/15)となかなかですが、産駒は 500万下で勝つのがやっとで、それより上のクラスで勝った馬はいまのところいません。

また母父キングカメハメハはもっと悪く、勝ち上がり率はたったの 23.1%(3/13)。母父以外でもダメなようで、母方3代内にキングマンボがいる場合の勝ち上がり率は 29.2%(14/48)です。とても低いですよね。

またディアデラノビアの初仔(ディアデラマドレの半兄)ディアデラバンデラは、未勝利を勝ったあと地方に移籍しましたが、大きな成果はあげていません。

他のきょうだいとくらべて戦績が見劣りする彼はシンボリクリスエス産駒なので、ボリクリとこの牝系との相性も気になってきてしまいます。

相性についてひとつ前向きな情報があるとすれば、エピファネイアの母シーザリオと、キングカメハメハの相性です。

ご存知のとおり、シーザリオはキンカメとの間に朝日杯フューチュリティS(G1) を勝ったリオンディーズを産んでいますし、他のキンカメ産駒も、健康な馬はそこそこ走っています。

というわけで、配合については強弱が入り混じった状態です。

しかし個人的には、母の末脚の鋭さや母系の優秀さに非常に期待しているので、馬体や歩様などに大きな問題がなさそうであれば、出資したいと考えています。

(以下、9月1日に追記しました。)

馬体は母似でセンが細い

母のディアデラマドレ
母ディアデラマドレ 2歳9月30日の写真

配合上の懸念はもうひとつありました。実はシンボリクリスエス産駒は、牝馬の勝ち上がり率や 1頭あたり獲得賞金が非常に低いです。

勝ち上がり率は、牡馬が 44.1%(301/682)なのに対して、牝馬は 26.0%(160/615)、1頭あたり獲得賞金は牡馬 2126万円、牝馬 824万円(2018年9月1日現在)。

たとえば、リーディングサイアーのなかでもフィリーサイアーとして知られるディープは牡馬 64.3%・4535万円、牝馬 51.3%・2696万円です(2018年8月26日現在)。

牡馬の 1頭あたり獲得賞金に対する牝馬のそれをパーセンテージであらわすと、ディープが 59.45%、ボリクリが 38.76% です。ボリクリ牝馬がいかに走らないかがわかると思います。

なぜこんなに牝馬が走らないかというと、おそらく原因は気性の悪さにあると考えられます。ボリクリ産駒のセン馬率(セン馬 / 牡馬)は驚異の 11.58% なのです(同上)。

やはり気性が穏やかだと言われているディープ産駒の 5.05% と比べたらわかりやすいですし、荒れていると言われているステイゴールド産駒の 8.51% と比べても大きい数字です。(同上)。

牝馬は去勢することができないので、気性の悪さを矯正しきれずに未勝利のまま終わったり、良い戦績を残せなかったりする馬が多いのではないでしょうか。

ディアデラマドレの2017 はボリクリ系の牝馬なので、もしエピファネイア産駒が父産駒と同じような性質を引き継いでいると、気性が荒く出てそれが戦績に影響する可能性があります。

しかし、僕は本馬についてそんなに悲観的に考えていません。

ポトリザリス・ディアデラノビア・ディアデラマドレ、と続く牝系であり、牝馬が走る母系であるからです。

「ボリクリ(エピファ)牝馬は走らない」と「本馬の母系の牝馬は走る」という血統上のプラスマイナスが拮抗していることになりますが、本馬の馬体や気性は、母系に似通っていると考えているからです。

一見、母にそこまで似ていないように見えるかもしれませんが、キレのありそうな胴部やトモ、特に膝蓋と飛節が似ていると思っています。

同じような時期に生まれた母と、この時期の測尺の各数値も同じような感じなので、全体的に母似なのではないかと推測しました。それであればボリクリ系の不安は解消されて、母の鬼の末脚を受け継いでいるかもしれません。

気性面についても、キャロットの日帰り見学ツアーに参加した際に牧場スタッフさんに、「母の兄弟(2歳以上)が 3/6 でセン馬だが、本馬の気性はどうか」と聞いたところ、問題ないとのことでした。

ディアデラマドレの17(ツアー時)
実馬はかわいかったです(笑)

それを鵜呑みにするわけではないですが、実馬を見ていたところ、ツアー初日の慣れない環境の中、すぐに落ち着きを取り戻していたのが好印象でした。

ほかの馬とくらべると測尺は物足りないですし、歩様はほかのエピファネイア産駒同様にやや硬いです。しかし、それ以上に評価できるポイントがありますし、管囲の細さは馬体重の軽さから気にする必要はないと考えました。

僕はディアデラマドレの17 を最優先にする予定です。

この記事の作成日は 2018年08月12日、最終更新日は 2018年09月01日 です。

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