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オルフェーヴルの種牡馬成績

オルフェーヴル

AEI
1.44
CPI
2.52
AEI/CPI
0.57
勝ち上がり率
全体 : 27.9%
牡馬 : 30.9%
牝馬 : 24.6%
1頭あたり本賞金
全体 : 797万円
牡馬 : 769万円
牝馬 : 828万円
牝/牡(1頭本賞金)
107.62%
2勝馬率
10.85%
セン馬率
8.82%

※ 中央(芝・ダート)のみ、2018年9月14日現在の情報。
※ AEI は 2015〜2016年産、他は 2015年産のデータ。
※ 画像はキャロットクラブより転載(許可を得ています)。

最初に断っておきますが、オルフェーヴル産駒については、ロードカナロアやルーラーシップ、スクリーンヒーロー、ヨハネスブルグ、ヘニーヒューズなどと同様にデータ不足で、まだ確かな数値が出ているとは言えません。

また、一部辛辣な表現をしている箇所がありますが、オルフェーヴルをディスる意図はありません。現状のオルフェ産駒について、データから見える率直な意見を述べています。

自分自身、いまだに「次見たら勝ってそうな気がする」と思いながら、何度も何度も凱旋門賞の VTR を繰り返し見るくらいには、オルフェーヴルが好きです。

もう少し追い出しが遅ければ…内枠だったなら…3歳で挑戦していれば…など、タラレバをいくつもこぼしながら毎回レースを見ています。しかし、オルフェーヴル産駒の現状の戦績については以下のように考えています。

オルフェーヴル産駒の成績を見て、いちばん最初に思うのが「勝ち上がり率低すぎ」ということです。

産駒全体の勝ち上がり率 27.9% というのは非常に低い数字で、JRA全体の 1世代の勝ち上がり率(新馬戦・未勝利戦を勝つ確率)を下回っています。

クラブ馬に限定すると数値が変わる可能性はありますが、単純に考えると牝馬に出資した場合、4頭のうち 1頭しか勝ち上がらないという計算。ちょっと厳しいです。

しかしながら、数少ない活躍馬はいずれも大物で、エポカドーロはクラシックを勝ち、ラッキーライラックは G1を勝っています。世間で言われている以上に、三振かホームランか、という傾向が強いのかもしれません。

もうひとつ特徴的なのが、牝馬が牡馬より活躍しており、1頭あたり本賞金も牝馬のほうが大きいということです。

ラッキーライラックを除くと、牝/牡(1頭本賞金) が 61.09% になりますが、それでもディープインパクト産駒のそれよりも高く、フィリーサイアーと言えるレベルです。

まだ世代数が少ないことと、勝ち上がり率が低いことが影響しているのかもしれませんが、今後もこの傾向が続くのかは見ていきたいです。

さて、オルフェーヴル産駒の最大の問題は、勝ち上がり率の低さからもわかる通り、平均的な質が低そうであるということ。

上記の AEI関連の数値は現2〜3歳世代(2015〜2016年産)で計算していますが、AEI はそこそこ高く評価できるものの、それは CPI の圧倒的な高さによって得られており、そのため AEI/CPI はとても低いです。

つまり、交配相手である繁殖牝馬の質が非常に高く、現状ホームラン級のラッキーライラックなどを輩出しているのは、交配相手が良いのだから当たり前、という見方もできるのです。

※ エポカドーロもラッキーライラックも、そのきょうだいに目立った活躍馬はおらず、母の質が高いかというとそれには疑問符が付くことは、ひとまず置いておいてください。

むしろ G1馬以外にももっと活躍馬がでていなければならず、勝ち上がり率が異常に低く、1頭あたり本賞金が高くない現状は失敗と言えるのではないか、ということです。

これについて競馬の先輩に意見を聞いたところ、「交配相手がディープのお下がりで、高齢牝馬ばかりなのかもしれない」とのことでした。

母出産時の年齢は 7〜12歳というのがアタリで、14歳以上になると勝ち上がり率・獲得賞金ともにガクンと落ちます。そのため、高齢牝馬に多く付けられると、産駒成績は上がりません。

もしオルフェの相手がディープのお下がりばかりの場合、ディープ産駒の活躍によって CPI が跳ね上がっているが、高齢になっているのでその数値ほど質が良くない、ということが言えます。

実際に調べたところ、2015〜2016年産のオルフェーヴル産駒について、出生時の母年齢が 14歳以上だったのは 19.02% でした。これはディープ産駒の母の年齢分布とほぼ変わりません。

ディープには専用の輸入繁殖牝馬が多くあてがわれているので、社台グループの輸入繁殖にかぎった計算もしてみたところ、24.68% とやや高い数字がでました。

とはいえ、ストライクゾーンである 7〜12歳の母が大部分を占めていますし、その層限定で CPI を計算してみても、全体 2.23、社台輸入繁殖 2.48 といずれも高い数値でした。

結論を言うと、2015〜2016年産のオルフェーヴル産駒の母は、平均AEI を引き上げている高齢牝馬も通常よりやや多くいたが、若くて良質な牝馬も多かった、となります。

オルフェーヴル産駒はまだ若い世代が多いので、実際の AEI よりは低く出ている可能性があります。つまり、世代数が増えて古馬の割合が増えていったときに AEI もより大きくなると思います。

しかし、はたして繁殖牝馬の質(CPI 2.52)に見合う戦績をあげられるか、そこまで AEI が大きくなると見込めるのか、と考えると正直めちゃくちゃ厳しいと思います。

AEI 2.52 まで上がればそれで繁殖牝馬の質に見合った、つまりようやく平均的な種牡馬と言えるレベルになりますが、そこまで AEI を上げるにはキングカメハメハ以上の活躍が必要です。

平均的な産駒の質を高く保ちつつ、大物を何頭も出すことでやっと成しえるレベルなので、現状のオルフェーヴル産駒を見ているとそれは非常に難しいとしか言えません。

さらに残念なことに、先日発表された 2018年度のオルフェーヴルの種付け頭数は急減していますし、社台内でも年々、種付け頭数と、交配相手のうちの輸入繁殖牝馬の割合が減ってきています。

だんだん、良い相手に付けてもらえなくなってきている様子が見てとれます。

オルフェーヴル産駒を選定するときには、相馬眼がなによりも重要になると思います。三振する確率が高いことを前提に出資を検討するのが良いかもしれません。

…と言いながら、僕は 2年連続でオルフェーヴル産駒に出資していますし、来年もするだろうなとボンヤリ思っています(笑)。

やっぱり好きな馬の仔に出資したいし、活躍してほしいですもんね!

オルフェーヴルのBMS相性

母父 勝上 総数 勝上率 1頭賞金
ラムタラ 1 1 100.0 2240
マイネルラヴ 1 1 100.0 1785
Sinndar 1 2 50.0 1515
Highest Honor 1 2 50.0 1180
キングカメハメハ 2 3 66.7 847
Bertolini 1 2 50.0 635
Galileo 2 3 66.7 610
A.P. Indy 1 2 50.0 508
ブライアンズタイム 3 7 42.9 496
Monsun 0 2 0.0 485
フレンチデピュティ 1 2 50.0 413
Hussonet 0 1 0.0 380
シンボリクリスエス 1 5 20.0 275
Medaglia d'Oro 0 3 0.0 253
クロフネ 0 4 0.0 235
Danehill 1 3 33.3 227
ダンスインザダーク 0 2 0.0 155
Distorted Humor 0 3 0.0 135
タイキシャトル 0 3 0.0 133
ジェネラス 0 2 0.0 25
Kingmambo 0 3 0.0 0

※ 中央(芝・ダート)のみ、2015年産(現3歳)のみ、レース機会 10以上の母父(BMS)のみ、2018年8月26日現在の情報。

さすがにデータが少なすぎて、比較できるほどの情報量がそろっていません。

ひとつ面白いことと言えば、ラッキーライラックの母父父にあたるディストーテッドヒューマー(Distorted Humor)が母父である 3頭がみんな勝ち上がっていないということ。

フォーティナイナー系は相性が良いはずで、実際にエポカドーロとラッキーライラックという 2頭の G1馬が出ているのですが、なぜか母父ディストーテッドヒューマーは現状、結果が出ていないようです。

オルフェーヴルの母父系の相性

母父系 勝上 総数 勝上率 1頭賞金 重賞代表
ミスプロ 7 19 36.8 2741エポカドーロ
ストームキャット 2 5 40.0 1032ロックディスタウン
エクリプス 1 4 25.0 721
シアトルスルー 2 6 33.3 587
ナスルーラ 4 16 25.0 340
ニアークティック 9 30 30.0 486
ダンチヒ 4 14 28.6 471
ロベルト 5 16 31.3 371
ヌレイエフ 0 3 0.0 230
ロイヤルチャージャー 0 4 0.0 185
サンデーサイレンス 0 7 0.0 60

※ 中央(芝・ダート)のみ、2015年産(現3歳)のみ、レース機会 10以上の母父系のみ、2018年8月26日現在の情報。
※ 独自に系統を分類しています。大系統のデータに小系統のデータは含まれません。

BMS相性と同じく、母父系の相性もデータが少なすぎてあまり語れることはありません。

ひとつ言えるのは、ミスタープロスペクター(Mr. Prospector)系がとても合いそうだということです。…みんな言っていることですね。

エポカドーロ・ラッキーライラックは、ミスプロ系のなかの小系統フォーティナイナー系から出ていますし、勝ち上がり率を見てもオルフェ産駒にしては良いほうです。

勝ち上がり率はストームキャット系より低いですが、データ数が全然違っており、ミスプロ系の数字のほうが信頼度が高いです。

逆にサンデーサイレンス系は足を引っ張っている印象ですが、今後の産駒の活躍しだいで、ここらへんの数字は大きく変わる可能性もあります。オルフェ産駒、みんながんばってほしいですね。

オルフェーヴル産駒の距離適性

距離 勝率 連対率
芝〜1600 7.91 14.69
芝1400〜2400 7.39 16.52
芝2000〜 7.61 14.67
ダ〜1400 3.64 7.27
ダ1600〜 11.76 29.41

※ 中央(芝・ダート)のみ、2018年9月17日現在の情報。

「芝の距離区分がかぶってない?」と、おかしく感じられるかもしれませんが、ミオスタチン遺伝子型の別による得意距離ごとにわけて集計しています。ご容赦ください。

※ ミオスタチン遺伝子型について詳しくは「プラスビタール・スピード検査」「ミオスタチン(筋抑制因子)と競走馬の距離適性」などをご覧ください。

芝については、距離がちがってもパフォーマンスはさほど変わらないように見えます。意外だったのは、ダート1600以上の勝率がかなり高いということです。

勝率 11.76% という数値は、芝ダ兼用のキンカメ産駒のそれを上回っていますし、連対率 29.41% というのは圧倒的な数字です。

もちろんまだ産駒が若いので、新馬や未勝利などの低いクラスのレースが大きく影響しているのはあります。クラスが上がっても同様の活躍ができるかどうかを注視したいです。

ただ、オルフェーヴルはフランスの凱旋門賞で 2年連続 2着という戦績を残していますので、産駒にはパワーとスタミナが強く伝わっているのかもしれません。

3歳未勝利で勝ち上がっている馬が多い印象があり、晩成傾向があるかもしれず、古馬になって芝の長い距離でも活躍してくれると嬉しいなと思います。

この記事の作成日は 2018年09月22日、最終更新日は 2018年10月08日 です。

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