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ハービンジャーの種牡馬成績

ハービンジャー

AEI
1.40
CPI
1.30
AEI/CPI
1.07
勝ち上がり率
全体 : 34.0%
牡馬 : 40.7%
牝馬 : 27.1%
1頭あたり本賞金
全体 : 1354万円
牡馬 : 1658万円
牝馬 : 1044万円
クラシック出走率
全体 : 3.20%
牡馬 : 3.65%
牝馬 : 2.73%
牝/牡(1頭本賞金)
63.00%
2勝馬率
17.19%
セン馬率
4.98%

※ 中央(芝・ダート)のみ、2018年9月14日現在の情報。
※ クラシック出走馬率は 2012〜14年産、他は 2012〜16年産のデータ。
※ 画像はキャロットクラブより転載(許可を得ています)。

2017年に G1馬が 3頭誕生したハービンジャー産駒。いちどは下がった種付け頭数が回復して嬉しいかぎりです。

まだ産駒数が多くはないため、各数値を見ると、ディープインパクトやキングカメハメハなどの超一流種牡馬とくらべて見劣りする平均的な成績に見えますが、非サンデー系として血統を残す意味でも今後が楽しみです。

具体的に見ていくと、勝ち上がり率 34.0% は種牡馬リーディング上位 20頭ほどの種牡馬でくらべると、下から数えたほうが早い数字。AEI/CPI も同様です。

モズカッチャンやディアドラなどの G1馬が出ていることも影響しているかもしれませんが、牝馬と牡馬の 1頭あたりの賞金を比較した牝/牡(1頭本賞金) は 63.00% で、フィリーサイアーと言える水準です。

これは同じく上位 20頭ほどで見たときに 5番目。その上にはオルフェーヴルやロードカナロアなどのデータ不足の馬が位置しているので、実質的には 3位の数値と考えてよいかもしれません。

セン馬率は低くて好感が持てます。去勢をする最大の理由は気性なので、ハービンジャー産駒は全体的に落ち着いていると見てよいのだろうと思います。

産駒の種牡馬需要が高いわけではないと思われるので、ディープインパクト産駒とはちがってそれが理由で去勢されないわけでもないでしょう。というわけで、素直に気性が良いのだと思います。

ほかに筋肉が増えすぎたり硬くなったりするのを予防するという理由もありますが、ハービンジャー産駒は緩いと言われるとおり硬くはないはずので、それも数字の低さに影響しているかもしれません。

気になるのは 2勝馬率です。ディープやキンカメ、ハーツ、ダイワメジャーなどだけではなく、ステイゴールドやヨハネスブルグなどに劣っています。

勝ち上がり率が低いと 2勝以上する馬も少なくなるので、当然といえば当然ではありますが、勝ち上がった馬が複数勝利をあげられる馬なのか、馬券的にもその見極めは必要かもしれません。

もちろん一口馬主としては、まずは 1勝してくれないと困るのですが、そのあとが鳴かず飛ばずという状況も維持費がかさむだけに大きな問題となります。

馬券とちがって成長してから判断するわけにはいかず、募集時に見極めなければいけないので、ここらへんは個人的にもハービンジャー産駒の選定における今後の課題だととらえています。

ただ、比較対象にあげたヨハネスブルグよりも産駒の世代数が少なく、これから 2勝馬率が改善されてくる可能性もありますので、過度に悲観的になることはしないよう気をつけたいと思います。

先述のように、一度は種付け頭数が落ち込んだ本馬。社台グループにかぎって見ても、2013年産の産駒は 94頭いたのに、2017年産は 29頭まで落ち込みました。

G1馬の誕生で社台グループ内の種付け頭数も全体の頭数も、導入当初のレベルに戻ってきていますが、2勝馬率を見ていると不安になるところもあるので、ぜひ今後も産駒には活躍してほしいです。

それにしても、噂によると社台グループはハービンジャーを数百万ドルで購入したらしく、これほどの種牡馬がその値段で買えたというのは驚くばかりです。

ハービンジャーのBMS相性

母父 勝上 総数 勝上率 1頭賞金 重賞代表
キングカメハメハ 5 11 45.5 4095 モズカッチャン
ジャングルポケット 3 4 75.0 3379
スウェプトオーヴァーボード 2 3 66.7 2677
エルコンドルパサー 5 7 71.4 2315
グラスワンダー 2 4 50.0 2116
クロフネ 5 13 38.5 2108 ノームコア
サンデーサイレンス 52 118 44.1 2034 ペルシアンナイト
スペシャルウィーク 9 19 47.4 2000 ディアドラ
アドマイヤベガ 2 6 33.3 1964
ダンスインザダーク 12 28 42.9 1641
フレンチデピュティ 5 13 38.5 1527
フジキセキ 9 26 34.6 1515
マンハッタンカフェ 3 6 50.0 1464
ディープインパクト 3 9 33.3 1176
シンボリクリスエス 2 6 33.3 1147
ステイゴールド 2 3 66.7 1065
タイキシャトル 2 6 33.3 797
アグネスタキオン 12 47 25.5 721
ネオユニヴァース 1 7 14.3 556
ハーツクライ 0 4 0.0 181
エンドスウィープ 0 5 0.0 160

※ 中央(芝・ダート)、2012〜15年産、レース機会 30以上の母父(BMS)、2018年10月3日現在の情報。

ハービンジャーと母父(BMS)との相性を見ると、キングカメハメハがとても良いようです。

出走 11頭で 5頭が勝ち上がり、勝ち馬の母はすべてちがう馬。そしてモズカッチャン・ブラストワンピースという 2頭の重賞ウイナーが出ており、うち 1頭は G1馬です。

ブラストワンピースも菊花賞に向かうとのことで、エポカドーロとの対戦が楽しみですね。

重賞勝ち馬は出ていないものの、エルコンドルパサーやスウェプトオーヴァーボードも勝ち上がり率が高く、ミスプロの中ではここらへんの血統が特に合っているのかもしれません。

母父サンデーサイレンスも成績が良いです。勝ち上がり率は当然のこと、活躍馬もペルシアンナイト・ベルーフ・ドレッドノータスなどの重賞勝ち馬を出しており好相性。

サンデーサイレンス牝馬の質が良いのもあるでしょうが、それらに付けるために導入された側面もあると言えるハービンジャーですので、ここの相性が良かったことはホッとできるところでしょう。

母父スペシャルウィークも勝ち馬 9頭の母がすべて別で、ディアドラも出ており素晴らしいですが、残念ながらディアドラ以外は平均値が低い感じ。低価格なら狙いたいです。

クロフネとフレンチデピュティの父仔も、同様に勝ち馬 5頭の母馬がすべて違う馬。重賞勝ち馬のノームコアが出ている点と、同配合内の賞金1位のシェアを見たときにクロフネのほうが低い点から、クロフネ推しです。

1位の賞金シェアが低いということは、1位(母父クロフネで言えばノームコア)だけが頑張っているのではなく他の馬も成績が良く、相性がより良いと判断されるからです。

ハービンジャーの母父系の相性

母父系 勝上 総数 勝上率 1頭賞金 重賞代表
エクリプス 2 6 33.3 2486 ヒーズインラブ
ミスプロ 16 42 38.1 1885 モズカッチャン
ロベルト 6 15 40.0 1814 プロフェット
サンデーサイレンス 109 290 37.6 1526 ペルシアンナイト
ノーザンダンサー 12 42 28.6 1194 ノームコア
ナスルーラ 4 15 26.7 1180
ロイヤルチャージャー 5 11 45.5 698
ヌレイエフ 0 5 0.0 133
ストームキャット 0 7 0.0 31

※ 中央(芝・ダート)、2012〜15年産、レース機会 30以上の母父系、2018年10月3日現在の情報。
※ 独自に系統を分類しています。大系統のデータに小系統のデータは含まれません。
※ 他ページではノーザンダンサー系のみニアークティック系に含まれています。

だいたい BMS で見たとおりの印象ですが、ミスタープロスペクター(Mr. Prospector)系全般が合うわけではないようで、やはりその中ではキンカメがいちばん良いようです。

次点でエルコン。さらにスウェプトもいいですが、スウェプトについてはデータ不足でまだ判断が難しいという感じ。

大きな分類で見るとロイヤルチャージャー系全般も好相性で、とても安定しています。サンデー系も良いですし、プロフェットが出ているロベルト系も良し。

サンデー系とロベルト系を除いたロイヤルチャージャーも良いですが、勝つけど後が続かないようで、非サンデー・非ロベルトのロイヤルチャージャー系は避けたほうが無難かもしれません。

最も合わないのはノーザンダンサー系。クロフネとフレンチデピュティが数値を引き上げているのにもかかわらず、全体の勝ち上がり率は 28.6% と低調。

ND系から枝分かれしたヌレイエフ系やストームキャット系も、データ不足とはいえ褒められた数値ではなく、自身も ND系であるハービンジャーには、ND を濃くしすぎる配合は良くないのかもしれません。

自分は相馬眼が鍛えられるまでは、父ハービンジャー母父ND系は、クロフネとフレンチデピュティ以外は慎重に見たいと思います。

ハービンジャー産駒の距離適性

距離 勝率 連対率
芝〜1600 7.56 15.35
芝1400〜2400 9.64 17.79
芝2000〜 10.07 18.56
ダ〜1400 2.55 4.46
ダ1600〜 3.33 8.61

※ 中央(芝・ダート)、2018年9月17日現在の情報。
※ 芝の距離区分がかぶっていますが、ミオスタチン遺伝子型の別による得意距離ごとに集計しているためです。

社台スタリオンステーションで聞いた情報では、ハービンジャーのミオスタチン遺伝子型は長距離適性の高い T:T型とのことでした。

産駒の距離別勝率を見ると、納得の数値が出ています。芝の長めの距離が合っているようで、2000m以上の安定感はかなりのものです。

とてもわかりやすいのがダート適性のなさで、これまでに中央ダートで 3勝以上をあげた馬はいません(2勝が最高)。

これも緩いと言われることと関係があるのかもしれません。ダートでは制動力が必要となるので、馬体が緩くパワーに欠けるかもしれないハービンジャー産駒は、日本の砂には合わないのだろうと思います。

ハービンジャー×キングカメハメハでも芝での活躍馬が出ている状態ですし、ダートでの潰しはきかないことを前提に募集馬を見るのが良いかもしれません。

ただ不思議なのは、ハービンジャー自身は芝が深く馬場が重いとされる欧州で活躍しましたし、産駒は洋芝の札幌と函館で好成績をあげています。

重めの芝に対応できるならダートもいけそうな気もしますが、芝とダートは(当然ながら)別物だし、スタミナとパワーは別物だということなのでしょうか。

この記事の作成日は 2018年10月08日 です。

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