トップ > 一口馬主ブログ > 出資馬の選定で重視しているポイント

一口馬主の出資馬の選び方

基準

これまで一度も自分の出資方針を明確に提示したことがなかったことに気づいたので、ここにまとめておきます。

2017年に一口馬主をはじめて自分なりにいろいろ勉強してきたつもりですが、先輩方とくらべると競馬においても相馬においても、あらゆる面で経験値が低いと思うので、毎年すこしずつでも進歩していきたいと思っています。

最も重視しているのは母と牝系

最も重視しているのは母と、母系(牝系)です。もちろん種牡馬も大事だと思っていますが、研究によると父より母のほうが産駒の競走能力に強く影響を与えるらしいです。

競走能力は父馬よりも母馬からの影響が大きいとする研究(アメリカ)
優秀な競走馬を生産するための種雌馬の要因

エリート母馬の産駒(EE・EP)が、統計的にはいずれも同じように優秀な結果を出した。一方、エリート父馬の産駒(EE・PE)の結果が同じではないことは、興味深い。

産駒への影響力は母馬の競走能力に、より緊密に関係していることを示している。プア母馬の産駒(PE・PP)は、たとえ父馬がエリートでも全体的に下位である。

子馬の素質は母馬から 55-60% を、父馬から 40-45% 受け継ぐ

遺伝的影響は約 33% に過ぎず、残りの約 66% は妊娠中の母体内での影響や生後の子馬を取り巻く環境による

とのことなので、母馬の競走馬や繁殖牝馬としての資質、母馬の健康状態などをこれまでの産駒の傾向などから推しはかるのが重要だと考えています。

また種牡馬は勝手に淘汰されますし、クラブに提供される産駒の種牡馬に基本的におかしな馬はいないので、そちらはそこまで厳選する必要がないというのもあります。

有料会員向けの記事なので読めないかもしれませんが、もうひとつ例をあげておくと「一口馬主DB」の下記の記事に、母の競走成績と産駒の競走成績の関係について書かれています。

母の競走成績と繁殖成績の関係

母の年齢と何番仔であるか

上記項目とかぶりますが、出産時の母の年齢と、その仔が何番仔であるかを確認しています。

最初に紹介した「優秀な競走馬を生産するための種雌馬の要因」の記事に、各国でおこなわれた調査結果がまとめられています。

総合すると母が 7〜9歳のときに出産された、1〜5番目の産駒が「打ちごろ」で、6〜12歳のときに出産された産駒もストライクゾーンのようです。

各国の研究結果は少しずつズレているので、それぞれの国の馬産の事情が絡んでいると思います。それを考慮すると、基本的には日本の研究結果を重視したほうがいいかもしれません。

僕は各国の研究結果でかぶっている部分、つまり上記の「打ちごろ」のボールを中心に出資馬を選定しています。

もちろん母馬の繁殖能力には個体差があり、高齢で大物を輩出する母馬もいます。それを見極められる相馬眼があれば別ですが、自信がない場合はデータに頼るのが吉だと思います。

僕は記事では好き勝手なことを書いていますが、自分に相馬眼があるとは口が裂けても言えないレベルです。そのため、惚れ込んだ馬以外は、打ちごろないしはストライクゾーンの馬を選んでいます。

[ 追記 2018年10月18日 ]

勝ち上がりの延長線上に重賞勝ち馬などがいるので、母が高齢だとしても、安定的に上(きょうだい)が勝ち上がっている募集馬が良いとも考えるようになりました。

母が高齢の場合、きょうだいの戦績や、どの父と相性が良さそうなのかということなどがわかりやすく、目に見える情報が増えるのは大きなメリットです。

回収率を重視する場合は特に、きょうだいが安定的に走っていて、かつ募集総額が安い馬は魅力的だと思います。そういう選定方法も来年は取り入れるかもしれません。

種牡馬とミオスタチン遺伝子型

種牡馬よりも母馬を重視していると書きましたが、もちろん種牡馬も見ています。現役時代を知っている馬を中心に、その産駒を選んでいます。

最も思い入れのあるのは、はじめてその菊花賞で馬券を買ったディープインパクトですが、高額すぎて手が出せません(笑)。

種牡馬については(母馬についてもですが)、「ミオスタチン遺伝子型」というものをある程度意識しています。

ミオスタチン遺伝子型とは、筋肉の発達に影響する遺伝子の型で、父と母からそれぞれひとつずつ「C」または「T」を受け継ぎます。組み合わせは以下のとおりです。

  • C:C型(短距離適性)
  • C:T型(中距離適性)
  • T:T型(中長距離適性)

プラスビタール・スピード検査

距離適性を完全に規定するわけではないと思いますが、研究結果によると大きく影響していることはたしかなので、血統や馬体とあわせて見ることで、募集馬の距離適性を見極めるのにつかっています。

すべての募集馬についてミオスタチン遺伝子型を開示している、広尾サラブレッド倶楽部のようなところもありますが、他のクラブではこの情報は提供されていないようです。

検査料は高いわけではないので、全クラブで提供してくれると嬉しいなと思っています。

血統と配合

血統と配合の分析は、自分の最大のウィークポイントです。また去年から今年にかけて、さらに今年のなかでも東サラの募集時からキャロットの募集時までにかけて、見方が大きく変わっています。

競馬ファンにはおなじみの「TARGET frontier JV」(ターゲット)という、JRA公式データをつかって分析できるツールでデータを洗いますが、できるのはそれくらいです。

それぞれの種牡馬や父系の能力や得意コース、クセ、走りの特徴などはつど調べている状態で、きちんと頭に入っていません(繁殖牝馬についても同じ)。

ブログなどにいろいろな意見や感想などが書かれていますが、他者のイメージをそのまま流用すると、その人の主観が多分に混ざるので信憑性に問題が出ます。

そのためなるべく自分が調べた一次情報をもとにイメージを形成したいのですが、レース動画などで確認するのにも時間的余裕が必要なので、この点についてはゆっくりやっていくしかないと思っています。

血統と配合について最も重視しているのは、父と母(母父)の相性です。

少し前までは 4代目や 5代目、さらにその前にまで遡っていましたが、遺伝学的に考えると、遠くに離れれば離れるほど影響はどんどん小さくなるはずであり、それに意味があるのか疑問になりました。

クロスに関しても、今年のキャロット募集開始前あたりからそれほど重視しなくなりました。クロスよりも、競走能力や特徴について、強く子孫に影響を与えている(と思われる)父母や系統に注目しています。

※ そのわりに、エピファネイア産駒のサンデーサイレンス 4×3 についてワーワー言っていますが(笑)。

ナスキロやボルキロ、ナスペリオン他については、クロスよりも影響はあるかもしれないと考えていますが、正直わからなくなっています。現在はその評価を保留しています。

馬体と歩様

馬体と歩様についても、血統や配合と同じく、わかっていない部分が多く日々、見方が変わっています。

書籍やウェブで書かれている基本事項についてはひと通りおさえましたが、データや科学的根拠と同時に書かれている項目というのはほぼ皆無なので、それを信じて良いのかわかっていません。

たとえば、「管が乾いている(腱がクッキリ見えている)ほうが脚元の故障リスクが小さい」という話がありますが、解剖学的(生理学的?)にそれが正しいかはわかりません。

そういった情報が多すぎるので、自分でたしかな情報を集めつつ手探りで進めている状態です。

具体的な見方については、全体の骨格バランス(フレーム)・トモ幅・飛節・背腰・腹・繋・首・肢などから競走能力と故障リスクを読みとろうとしています。

去年はとにかくトモ幅を見ていました。トモ(特に腰・尻・股・臀)が大きければ大きいほど良いと単純に考えていました。

今年もトモ幅や厚みを重視していることは変わりませんが、生月日によって筋肉の付き方はちがってきますし、立ち方やチカラの入れ方のすこしの違いで筋肉の盛り上がり方も変わってきます。

また光の角度や強さで見栄えや影がかわり、良く見えたり悪く見えたりもします。

そのため、筋肉があまりないように見えても骨格(腰角から臀端、尻から膝蓋)が十分であれば良しとしています。

飛節は幅があって、踵骨が大きく飛端の位置が高いもの、背腰は緩やかな曲線を描いていてしっかりして強そうなもの、腹(肋・ろく)は張りがあって、胸囲の数値以上にパンパンに張って見えるものが好みです。

好みです、と言っていることからわかるように、まだ科学的根拠をもって馬体を見られているわけではありません…。

父や母の募集時や現役時の姿も参考にしています。

たとえばディープインパクトはそこまでトモが大きくないので、産駒のトモが小さくても気にしませんし、ハーツクライやジャスタウェイの仔の胴が長くて見栄えがしなくても問題とは思いません。

歩様からは、いまは柔軟性や運動神経、気性などを読みとろうとしています。

尻の上下が大きかったり、飛節がグラついていたりすると、筋力をうまく推進力に転換できていないという見方もありますが、個人的にはあまり気にしていません。

常歩とギャロップはまったく別の運動なので、常歩の歩様から走りを想像するのは非常に難しいと思います。それにくらべて、筋肉の柔らかさや関節の可動域などはいくぶん見やすいはずです。

個人的に重視しているのが飛節と繋の柔軟性で、この 2つが柔らかく、繋にほど良い弾力を持っていると、常歩なのに躍動感がある歩様になると考えています。

あとは曳き手の言うことを聞いているか、歩きに集中できているかなどで気性を見ています。

勉強につかっているサイト

さいごに、自分が勉強につかっているサイトを紹介しておきます。

JRA総研のサイトや育成馬日誌には、馬体や歩様、競争能力、故障などの見方にかかわる知見が研究結果とともに集約されていますので、読まない手はないと思います。

サラブレッドの馬体各部の名称、骨格の付き方、筋肉の名称なども覚えておくと、上記のサイトの記事が読みやすくなります。

一口馬主DB の「一口ノウハウ読み物」は、有料会員限定の部分もあると思いますが、個人でやろうと考えたら多くの時間と手間がかかることをやってくれているので、ありがたいです。

公開 2018.08.29 - 更新 2019.03.13

このページのトップへ

トップページ